私が社会に出たときに、「年末調整」と聞いて「はっ?なんですか?」という感じでした。さらに「確定申告」と聞いて「えっ?なんですか?」という感じでした。
数年サラリーマンをして年末調整をなんとなく理解し、転職したことによって確定申告をなんとなく理解して。
年末調整、確定申告、何が違うの?
そう、本質は同じなのですが、違いもあるのです。今日は年末調整と確定申告の違いについてです。
※この記事はサラリーマンの方、給与担当者の方、どちらでもわかるように別々にしています。
サラリーマンの方はこちら
年末調整と確定申告の違い
年末調整は所得税を会社が確定申告すること
確定申告は所得税を自分で申告すること
年末調整は先払い、確定申告は後払い
年末調整は10月下旬くらい~12月上旬くらい、確定申告は2/16~3/15
対象となる期間は年末調整も確定申告も1月1日~12月31日
年末調整は所得税を会社が確定申告すること
というのはちょっと表現がおかしいですが。
日本では申告納税方式を採用しています。つまり所得税も自分で申告して納付するのが基本です。
サラリーマンが全員、大勢で申告、納付すると税務署が混乱してしまったり、いちいちサラリーマンが法改正などに対応するのは大変だったり、国の税収が確定申告時期に集中してしまったりといろいろと問題があります。
そこでサラリーマン、つまり会社の従業員の場合は、会社が本人に代わって所得を計算、申告し、所得税を納付するのです。
納付にあたっては効率を考え、毎月給与から所得税の概算金額を徴収し納付しています。これが源泉徴収です。
ただし、あくまで概算金額ですので年末にその年1年間の精算をします。それが年末調整です。
確定申告は所得税を自分で申告すること
つまり申告納税方式の日本では、確定申告こそ本来の姿なのです。
確定申告とは、自分の1年間の所得を計算して税務署に申告することです。納付も一度に自分で行います。
年末調整は先払い、確定申告は後払い
もうすでに説明していますが、年末調整は会社が給与から所得税の概算金額を源泉徴収していますので、言い方を変えれば先払いです。
本来の姿である確定申告は、年間の所得を計算して所得税を確定、納付するので、言い方を変えれば後払いです。
ちなみに住民税も後払い
ちなみに住民税も後払いです。
基本的にサラリーマンは会社が年末調整をして、その情報を市区町村などの自治体に伝え、それをもとに市区町村などの自治体が住民税を計算します。
住民税は概算金額を源泉徴収する所得税とは違い、確定した前年の所得を元に計算し、毎月の給料から控除、天引き(特別徴収という)しています。
つまり住民税も後払いです。
年末調整は10月下旬くらい~12月上旬くらい、確定申告は2/16~3/15
年末調整は10月下旬くらい~12月上旬くらい
確定申告は2/16~3/15
年末調整は10月下旬くらい~12月上旬くらい
サラリーマンにとっての年末調整は10月下旬くらいから12月上旬くらいです。
「くらい」というのは会社によって違うからです。主には給与担当者の都合によります。
サラリーマンの年末調整とは、扶養控除申告書、保険料控除申告書、配偶者控除等申告書、住宅借入金等特別控除申告書などを提出することです。
確定申告は2/16~3/15
確定申告は直接自分で税務署に申告するので、全員一律、2/16~3/15です(土曜日、日曜日と重なると順次繰り下げ、月曜日まで)。
対象となる期間は年末調整も確定申告も1月1日~12月31日
これは当然といえば当然ですが、年末調整も確定申告も所得を確定して申告、所得税を納付することには変わりません。
その所得がいつのものかというと、1月1日から12月31日です。
年末調整(12月)はその年の1月1日から12月31日の所得ですし、確定申告(翌年2月)は前年の1月1日から12月31日の所得ということです。
ちょっとわかりづらいかもしれませんので・・・。
例えば、2018年の12月の年末調整の所得は、2018年の1月1日から12月31日までの所得、2019年の2月の確定申告の所得は、2018年の1月1日から12月31日までの所得です。
年末調整、確定申告、年末調整&確定申告いろいろなカタチ
年末調整では控除できない
特定支出控除
忘れてしまったり、言わなかった
途中で退職し就職しなかった
そもそも確定申告が必要
年末調整と確定申告の違いを書いてきましたが、年末調整&確定申告などのパターンもあり、年末調整だけ、確定申告だけと完全に切り離すことはできない場合があります。
年末調整では控除できない
医療費控除
初年度の住宅ローン控除
ふるさと納税など寄付金控除
雑損控除
特定支出控除
医療費控除
医療費控除は対象にならない人もいますが、もし対象であって確定申告をするとお小遣いがもらえた気分になれます。
医療費控除について詳しくはこちらの記事をご覧ください
ついでにセルフメディケーション税制というものあります。
セルフメディケーション税制について詳しくはこちらの記事をご覧ください
初年度の住宅ローン控除
住宅ローン控除は2年目から住宅借入金等特別控除申告書を提出して会社に年末調整してもらいますが、初年度は確定申告が必要です。
住宅ローン控除について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ふるさと納税など寄付金控除
寄附金控除は、寄附をした時に所得税や住民税から控除されるものですが、基本的に確定申告が必要です(ふるさと納税は必要ない場合があります)。
ふるさと納税について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

雑損控除
災害や盗難、横領などによって損害を受けた場合に控除が受けられるものですが、確定申告が必要です。
特定支出控除
以下は控除対象ですが、確定申告が必要です。
仕事に関する図書の購入費用 仕事に関する衣類の購入費用(スーツ・制服など) 仕事に関する交際費用(接待費、お中元、お歳暮など) 個人で負担している通勤交通費 転勤に伴う引っ越し費用(自費分) 単身赴任者の帰宅にかかる費用(自費分) 研修費用(自費分) 資格費用(対象あり) |
忘れてしまったり、言わなかったり
サラリーマンの年末調整では、扶養控除申告書、保険料控除申告書、配偶者控除等申告書、住宅借入金等特別控除申告書などを提出すると書きました。
もし書き忘れた場合は、まずまだ間に合うかを会社(給与担当者)に聞いたみることです。間に合わなければ確定申告する必要があります。
生命保険、地震保険、小規模企業共済掛金控除、社会保険料控除(国民年金、国民健康保険)、2年目以降の住宅ローン控除の書き忘れなどの場合。 扶養家族が増えた、結婚したのに会社に言ってなかった、申告書に書き忘れたなどの場合。 |
途中で退職し就職しなかった
退職してその年のうちに就職した場合は源泉徴収票を次の会社に提出しましょう。次の会社で前の会社の分も合わせて年末調整してくれます。
その年のうちに就職しなかった場合はだれも年末調整してくれないので、自分で確定申告する必要があります。
そもそも確定申告が必要
年収が2000万円超の人
2ヶ所以上で給与を受けている人
年収が2000万円超の人
確定申告が必要です。確定申告には源泉徴収票が必要ですので、年末調整をしなくても源泉徴収票は発行されます。
2ヶ所以上で給与を受けている人
本業である会社が「主たる給与」、副業が「従たる給与」になりますが、金額の大きい方が「主たる給与」です。細かく言うと、社会保険料が天引きされている会社、年末調整をする会社が「主たる給与」です。
本業の会社では年末調整をしてもらえますが、副業の方は確定申告することになります。
副業に関係する内容について詳しくはこちらの記事をご覧ください
給与担当者はこちら
年末調整と確定申告の違い
給与担当者であれば、あまり確定申告は関係ないと言えばありませんが、年末調整や確定申告の仕組みを理解したり、また給与担当者であるということで従業員から質問される可能性もあります。
年末調整は所得税を会社が確定申告すること
確定申告は所得税を自分で申告すること
年末調整は先払い、確定申告は後払い
年末調整は10月下旬くらい~翌年1月31日、確定申告は2/16~3/15
対象となる期間は年末調整も確定申告も1月1日~12月31日
年末調整は所得税を会社が確定申告すること
というとちょっと表現がおかしいですが。
日本では申告納税方式を採用しています。つまり所得税も自分で申告して納付するのが基本です。
サラリーマンが全員、大勢で申告、納付すると税務署が混乱してしまったり、いちいちサラリーマンが法改正などに対応するのは大変だったり、国の税収が確定申告時期に集中してしまったりといろいろと問題があります。
そこでサラリーマン、つまり会社の従業員の場合は、会社が本人に代わって所得を計算、申告し、所得税を納付します。
納付にあたっては効率を考え、毎月給与から所得税の概算金額を徴収し納付しています。これが源泉徴収です。
ただし、あくまで概算金額ですので年末にその年1年間の精算をします。それが年末調整です。
確定申告は所得税を自分で申告すること
つまり申告納税方式の日本では、確定申告こそ本来の姿なのです。
確定申告とは、自分の1年間の所得を計算して税務署に申告することです。納付も一度に自分で行います。
年末調整は先払い、確定申告は後払い
もうすでに説明していますが、年末調整は会社が給与から所得税の概算金額を源泉徴収しますので、言い方を変えれば先払いです。
本来の姿である確定申告は、年間の所得を計算して所得税を確定、納付するので、言い方を変えれば後払いです。
ちなみに住民税も後払い
ちなみに住民税も後払いです。
基本的にサラリーマンは会社が年末調整をして、給与支払報告書を市区町村などの自治体に提出し、それをもとに市区町村などの自治体が住民税を計算します。
住民税は概算金額を源泉徴収する所得税とは違い、確定した前年の所得を元に計算し、毎月の給料から控除、天引き(特別徴収という)しています。
つまり住民税も後払いです。
年末調整は10月下旬くらい~翌年1月31日、確定申告は2/16~3/15
年末調整は10月下旬くらい~翌年1月31日
確定申告は2/16~3/15
年末調整は10月下旬くらい~翌年1月31日
年末調整は10月下旬くらいから翌年1月31日です。
「くらい」というのは会社によって違うからです。貴方が経営者や給与担当者ならば都合がよくて締め切りに間に合う日が開始日です。目安としては税務署から「年末調整のしかた」が届いたときでしょうか。
確定申告は2/16~3/15
確定申告は直接自分で税務署に申告するので、全員一律、2/16~3/15です(土曜日、日曜日と重なると順次繰り下げ、月曜日まで)。
対象となる期間は年末調整も確定申告も1月1日~12月31日
これは当然といえば当然ですが、年末調整も確定申告も所得を確定して申告、所得税を納付することには変わりません。
その所得がいつのものかというと、1月1日から12月31日です。
年末調整(12月)はその年の1月1日から12月31日の所得ですし、確定申告(翌年2月)は前年の1月1日から12月31日の所得ということです。
ちょっとわかりづらいかもしれませんので・・・。
例えば、2018年の12月の年末調整の所得は、2018年の1月1日から12月31日までの所得、2019年の2月の確定申告の所得は、2018年の1月1日から12月31日までの所得です。
年末調整、確定申告、年末調整&確定申告いろいろなカタチ
年末調整では控除できない
特定支出控除
忘れてしまったり、言わなかった
途中で退職し就職しなかった
そもそも確定申告が必要
年末調整と確定申告の違いを書いてきましたが、年末調整&確定申告などのパターンもあり、年末調整だけ、確定申告だけと完全に切り離すことはできない場合があります。
年末調整では控除できない
医療費控除
初年度の住宅ローン控除
ふるさと納税など寄付金控除
雑損控除
特定支出控除
医療費控除
医療費控除は対象にならない人もいますが、本来控除対象であり、確定申告するのが正常な形です。
医療費控除について詳しくはこちらの記事をご覧ください
ついでにセルフメディケーション税制というものあります。
セルフメディケーション税制について詳しくはこちらの記事をご覧ください
初年度の住宅ローン控除
住宅ローン控除は2年目から住宅借入金等特別控除申告書を提出させて、年末調整しますが、初年度は確定申告が必要です。
住宅ローン控除について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ふるさと納税など寄付金控除
寄附金控除は、寄附をした時に所得税や住民税から控除されるものですが、基本的に確定申告が必要です(ふるさと納税は必要ない場合があります)。
ふるさと納税について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

雑損控除
災害や盗難、横領などによって損害を受けた場合に控除が受けられるものですが、確定申告が必要です。
特定支出控除
以下は控除対象ですが、確定申告が必要です。
仕事に関する図書の購入費用 仕事に関する衣類の購入費用(スーツ・制服など) 仕事に関する交際費用(接待費、お中元、お歳暮など) 個人で負担している通勤交通費 転勤に伴う引っ越し費用(自費分) 単身赴任者の帰宅にかかる費用(自費分) 研修費用(自費分) 資格費用(対象あり) |
忘れてしまったり、言わなかったり
年末調整では、扶養控除申告書、保険料控除申告書、配偶者控除等申告書、住宅借入金等特別控除申告書などを提出すると書きました。
もし従業員が書き忘れる場合は、まだ間に合うのであれば対応すべきです。間に合わなければ確定申告をしてもらうようにしましょう。
生命保険、地震保険、小規模企業共済掛金控除、社会保険料控除(国民年金、国民健康保険)、2年目の以降住宅ローン控除の書き忘れなどの場合。 扶養家族が増えた、結婚したのに会社に言っていなかった、申告書に書き忘れたなどの場合。 |
途中で退職し就職しなかった
従業員が退職してその年のうちに就職する場合は源泉徴収票を次の会社に提出するように伝えましょう。次の会社で前の会社の分も合わせて年末調整してくれます。
その従業員がその年のうちに就職しなかった場合はだれも年末調整しないので、本人が確定申告する必要があります。
そもそも確定申告が必要
年収が2000万円超の人
2ヶ所以上で給与を受けている人
年収が2000万円超の人
確定申告が必要です。年末調整はしませんが、源泉徴収票は発行します。
2ヶ所以上で給与を受けている人
本業である会社が「主たる給与」、副業が「従たる給与」になりますが、金額の大きい方が「主たる給与」です。細かい話をしますと、社会保険料が天引きされている会社、年末調整をする会社が「主たる給与」です。
給与担当者としては、その従業員が本業であれば年末調整をしますが、副業の場合は確定申告をしてもらうことになります。
副業に関係する内容について詳しくはこちらの記事をご覧ください
まとめ
まあ、大多数の普通のサラリーマンであれば、「年末調整でおまかせ!」で済みますが、最近は世の中的に副業を認めたり、逆に推進する企業も増えてきていますので、例えば副業をして収入を得るのであれば確定申告のことを知らなければなりません。
また、医療費控除やセルフメディケーション税制などおトクに(というか本来払い過ぎを返してもらうだけですが)お小遣い稼ぎ(というか節税ですが)もできますので、お金について賢くやっていくのであれば、確定申告にも興味をもつべきです。
給与担当者としても従業員に質問されたら対応できる知識を持っているべきです。また給与担当者が医療費控除を受けられるのに申告しないということでは紺屋の白袴と言われてしまうかもしれません。