平成29年の税制改正により平成30年から配偶者の控除についてかなりややこしくなりました。
とりあえずなるべくわかりやすくなるようにまとめてみました。
パターンは27種類になるそうですが、単純化しています。おおまかな内容の把握のために読んでいただき、細かい部分はそこから枝葉に入っていただければと思います。
※この記事はサラリーマンの方、給与担当者の方、どちらでもわかるように別々にしています。
サラリーマンの方
一番重要なこと
給与所得者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができない
配偶者特別控除の控除額が改正されたほか、対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超121万円以下になる
給与所得者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができない
貴方の所得が1,001万円であったら、配偶者控除はありません。
配偶者特別控除の控除額が改正されたほか、対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超121万円以下になる
とてもややこしくて面倒な制度です。ここをこれから説明したいと思います。
大まかなパターンの配偶者控除と配偶者特別控除
貴方の所得が900万円超950万円以下の場合(年収1,120 万円超 1,170 万円以下 )
貴方の所得が950万円超1,000万円以下の場合(年収1,170 万円超 1,220 万円以下 )
貴方の所得が900万円以下の場合(年収1,120万円以下)
貴方の所得が900万円以下の場合(年収1,120万円以下)は、配偶者の所得が38万円(年収103万円)以下で38万円の配偶者控除の対象になります。
配偶者の所得が38万円(年収103万円)超から85万円(年収150万円)以下であれば、配偶者控除もしくは配偶者特別控除の最大額38万円の控除があります。
配偶者の所得が85万円(年収150万円)を超えると、所得121万円(年収201万円)までの配偶者特別控除は、配偶者の所得によって控除額が徐々に低減されます。
配偶者控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
配偶者特別控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
貴方の所得が900万円超950万円以下の場合(年収1,120 万円超 1,170 万円以下 )
貴方の所得が900万円超950万円以下の場合(年収1,120 万円超 1,170 万円以下 )は、配偶者の所得が38万円(年収103万円)以下で26万円の配偶者控除の対象になります。
配偶者の所得が38万円(年収103万円)超から85万円(年収150万円)以下であれば、配偶者控除もしくは配偶者特別控除の最大額26万円の控除があります。
配偶者の所得が85万円(年収150万円)を超えると、所得121万円(年収201万円)までの配偶者特別控除は、配偶者の所得によって控除額が徐々に低減されます。
配偶者控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
配偶者特別控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
貴方の所得が950万円超1,000万円以下の場合(年収1,170 万円超 1,220 万円以下 )
貴方の所得が950万円超1,000万円以下の場合(年収1,170 万円超 1,220 万円以下 )は、配偶者の所得が38万円(年収103万円)以下で13万円の配偶者控除の対象になります。
配偶者の所得が38万円(年収103万円)超から85万円(年収150万円)以下であれば、配偶者控除もしくは配偶者特別控除の最大額13万円の控除があります。
配偶者の所得が85万円(年収150万円)を超えると、所得121万円(年収201万円)までの配偶者特別控除は、配偶者の所得によって控除額が徐々に低減されます。
配偶者控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
配偶者特別控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
配偶者の控除に関する全体像
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
源泉控除対象配偶者、控除対象配偶者、同一生計配偶者
源泉控除対象配偶者:貴方の所得が900万円以下で配偶者の所得が85万円以下
同一生計配偶者:貴方の所得は無制限、配偶者の所得が38万円以下
控除対象配偶者:貴方の所得が1000万円以下で配偶者の所得が38万円以下
源泉控除対象配偶者:貴方の所得が900万円以下で配偶者の所得が85万円以下
源泉控除対象配偶者とは、貴方の所得が900万円以下で配偶者の所得が85万円以下の場合の配偶者のことです。
年末調整時に今年の扶養控除申告書と来年の扶養控除申告書を提出すると思いますが、貴方の配偶者がこの対象であれば、扶養控除申告書に記入欄がありますので、そこに記入します。
源泉控除という言葉がついていますが、毎月源泉徴収される所得税の計算の中で、配偶者が扶養の対象になります。
年末調整時には配偶者控除等申告書を提出しますが、配偶者控除等申告書を提出しても、扶養控除申告書にも記入はします。
同一生計配偶者:貴方の所得は無制限、配偶者の所得が38万円以下
貴方の所得は関係なく、配偶者の所得が38万円以下であれば同一生計配偶者という形になります。
前述の配偶者控除、配偶者特別控除には同一生計要件があります。また、障害者に該当する場合などで勘案することがあります。
控除対象配偶者:貴方の所得が1000万円以下で配偶者の所得が38万円以下
貴方の所得が1000万円以下で配偶者の所得が38万円以下であれば控除対象配偶者となります。読んで字のごとし控除対象の配偶者ですが、配偶者の所得が85万円(年収150万円)超から123万円(年収201万円)にかけては控除額が徐々に低減されていきます。
前述した配偶者控除、配偶者特別控除のそれぞれの要件に当てはまれば控除の対象になります。
その他配偶者控除、配偶者特別控除にまつわること
配偶者控除の要件
配偶者特別控除の要件
配偶者控除の要件
控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること
民法上の規定による配偶者であること(内縁関係は不該当)
納税者と生計を一にしていること
年間の合計所得金額が38万円以下であること(収入103万円以下)
青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
配偶者特別控除の要件
控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること
民法上の規定による配偶者であること(内縁関係は不該当)
控除を受ける人と生計を一にしていること
青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
他の人の扶養親族となっていないこと
年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であること(収入103万円超201万円以下)
壁のはなし
以前から「103万円の壁」などと言われており、2018年(平成30年)以降に適用される新税制になっても今度は「150万円の壁」となっています。
女性が税制の問題から勤務の調整をするというような実態があり、配偶者控除や配偶者特別控除が女性の就労や社会参加を阻害しているという議論もあります。
今後改善の方向に向かう可能性が高いため、毎年年末調整時には確認が必要になってくると思われます。
以下、貴方の所得が900万円、満額の控除額を38万円で記述しています。
900万円超950万円以下で満額の控除額は26万円
950万円超1,000万円以下で満額の控除額は13万円
100万円の壁
所得税とは関係ありませんが、住民税100万円の壁です。配偶者の収入が101万円以上になると、配偶者は所得税は発生しませんが住民税が発生します。
103万円の壁
103万円の壁ですが、貴方の所得が900万円以下であれば、配偶者の所得が38万円以下(収入103万円)で38万円の配偶者控除を受けられます。103万円を超えると配偶者控除は受けられず、さらに配偶者も所得税が課されます。103万円以下は配偶者特別控除はありません。
106万円の壁
こちらは所得税や住民税ではなく社会保険料の話ですが、106万円の壁は言ってみれば130万円の壁の例外です。以下の条件を満たすと130万円の壁が106万円の壁になります。
従業員が501名以上の企業
勤続年数は1年以上
労働時間が週20時間以上
月額賃金が8万8,000円以上(年収106万円以上)
※学生は適用外
130万円の壁
所得税や住民税ではありませんが、配偶者の収入が130万円以上になると、配偶者は貴方の扶養から外れ、社会保険料を払わなくてはいけません。社会保険料とは健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料です。
150万円の壁
150万円の壁は、貴方の所得が900万円以下であれば、配偶者の所得が85万円以下(収入150万円以下)で38万円の配偶者特別控除が受けられます。配偶者は所得税が課されます。150万円を超えると配偶者特別控除は徐々に低減されます。
201万円の壁
201万円の壁は、貴方の所得が900万円以下であれば、配偶者の所得が123万円(収入201万円以下)で低減された配偶者特別控除が受けられます。123万円(収入201万円以下)が配偶者特別控除の上限です。
ちなみに貴方の所得が900万円以下で配偶者の所得が120万円超、123万円以下で1万円の配偶者特別控除です。1万円の控除というのは所得税が1万円減るということではなく、所得から1万円引いてから所得税を計算するという意味です。
貴方 | 配偶者 | ||||
---|---|---|---|---|---|
所得税控除 | 所得税 | 住民税 | 社会保険料 | ||
配偶者の年収 | 100万円以下 | 配偶者控除 | × | × | × |
101万円~103万円 | 配偶者控除 | × | 〇 | × | |
104万円~105万円 | 配偶者特別控除(満額) | 〇 | 〇 | × | |
106万円~129万円 | 配偶者特別控除(満額) | 〇 | 〇 | △ | |
130万円~150万円 | 配偶者特別控除(満額) | 〇 | 〇 | 〇 | |
151万円~201万円 | 配偶者特別控除(低減) | 〇 | 〇 | 〇 | |
202万円~ | なし | 〇 | 〇 | 〇 |
配偶者控除とは
所得税を計算する過程で総所得金額から差し引く所得控除の一つ
所得税を計算する過程で総所得金額から差し引く所得控除の一つ。所得税の納税義務者に所得税法上の配偶者がいる場合,一定額が控除される。控除の対象となる配偶者とは,その年の 12月31日現在,民法の規定による配偶者であること(内縁の者を除く),納税者と生計を一にしていること,年間の合計所得金額が 38万円以下であること,原則として青色申告者(→青色申告)の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと,白色申告者の事業専従者でないこと,の要件をすべて満たしている者をさす。配偶者は一般の控除対象配偶者と老人控除対象配偶者(12月31日現在,満70歳以上)とに区分され,同居特別障害者であるか否かによって控除額が異なる。1987年からは,配偶者控除の適用がないときでも一定金額の所得控除が受けられる,配偶者特別控除が設けられた。控除を受ける者の合計所得金額が 1000万円以下であること,配偶者の年間の合計所得金額が 38万円超 76万円未満であるなどの要件を満たす者が対象となり 38万円を限度として控除される。なお,贈与税や住民税においても配偶者控除の制度がある。 (出典:コトバンク) |
配偶者特別控除とは
配偶者控除の対象にはならない配偶者で、所得金額が一定額以下であるなどの要件に該当する配偶者がいる場合に、一定の金額を控除すること
所得控除の一。配偶者控除の対象にはならない配偶者で、所得金額が一定額以下であるなどの要件に該当する配偶者がいる場合に、一定の金額を控除すること。控除額は、配偶者の所得金額に応じて変わる。 (出典:コトバンク) |
配偶者控除、配偶者特別控除の適用の例外
確定申告で配偶者控除、配偶者特別控除の適用
個人事業主
年の途中で退職した人
※年末調整をしていない人
給与担当者の方
一番重要なこと
給与所得者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができない
配偶者特別控除の控除額が改正されたほか、対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超121万円以下になる
給与所得者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができない
対象者の所得が1,001万円であったら、配偶者控除はありません。
配偶者特別控除の控除額が改正されたほか、対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超121万円以下になる
とてもややこしくて面倒な制度です。ここをこれから説明したいと思います。
大まかなパターンの配偶者控除と配偶者特別控除
対象者の所得が900万円以下の場合(年収1,120万円以下)
対象者の所得が900万円超950万円以下の場合(年収1,120 万円超 1,170 万円以下 )
対象者の所得が950万円超1,000万円以下の場合(年収1,170 万円超 1,220 万円以下 )
対象者の所得が900万円以下の場合(年収1,120万円以下)
対象者の所得が900万円以下の場合(年収1,120万円以下)は、配偶者の所得が38万円(年収103万円)以下で38万円の配偶者控除の対象になります。
配偶者の所得が38万円(年収103万円)超から85万円(年収150万円)以下であれば、配偶者控除もしくは配偶者特別控除の最大額38万円の控除があります。
配偶者の所得が85万円(年収150万円)を超えると、所得121万円(年収201万円)までの配偶者特別控除は、配偶者の所得によって控除額が徐々に低減されます。
配偶者控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
配偶者特別控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
対象者の所得が900万円超950万円以下の場合(年収1,120 万円超 1,170 万円以下 )
対象者の所得が900万円超950万円以下の場合(年収1,120 万円超 1,170 万円以下 )は、配偶者の所得が38万円(年収103万円)以下で26万円の配偶者控除の対象になります。
配偶者の所得が38万円(年収103万円)超から85万円(年収150万円)以下であれば、配偶者控除もしくは配偶者特別控除の最大額26万円の控除があります。
配偶者の所得が85万円(年収150万円)を超えると、所得121万円(年収201万円)までの配偶者特別控除は、配偶者の所得によって控除額が徐々に低減されます。
配偶者控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
配偶者特別控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
対象者の所得が950万円超1,000万円以下の場合(年収1,170 万円超 1,220 万円以下 )
対象者の所得が950万円超1,000万円以下の場合(年収1,170 万円超 1,220 万円以下 )は、配偶者の所得が38万円(年収103万円)以下で13万円の配偶者控除の対象になります。
配偶者の所得が38万円(年収103万円)超から85万円(年収150万円)以下であれば、配偶者控除もしくは配偶者特別控除の最大額13万円の控除があります。
配偶者の所得が85万円(年収150万円)を超えると、所得121万円(年収201万円)までの配偶者特別控除は、配偶者の所得によって控除額が徐々に低減されます。
配偶者控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
配偶者特別控除
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
配偶者の控除に関する全体像
(出典:国税庁HP(ブログ主加工))
源泉徴収配偶者、控除対象配偶者、同一生計配偶者
源泉控除対象配偶者:対象者の所得が900万円以下で配偶者の所得が85万円以下
同一生計配偶者:対象者の所得は無制限、配偶者の所得が38万円以下
控除対象配偶者:対象者の所得が1000万円以下で配偶者の所得が38万円以下
源泉控除対象配偶者:対象者の所得が900万円以下で配偶者の所得が85万円以下
源泉控除対象配偶者とは、対象者の所得が900万円以下で配偶者の所得が85万円以下の場合の配偶者のことです。
年末調整時に今年の扶養控除申告書と来年の扶養控除申告書を提出させますが、対象者の配偶者がこれに当てはまれば、扶養控除申告書に記入欄がありますので、そこに記入してもらいます。
源泉控除という言葉がついていますが、毎月源泉徴収する所得税の計算の中で、配偶者が扶養の対象になります。
年末調整時には配偶者控除等申告書を提出させますが、配偶者控除等申告書を提出しても、扶養控除申告書にも記入が必要になります。
同一生計配偶者:対象者の所得は無制限、配偶者の所得が38万円以下
対象者の所得は関係なく、配偶者の所得が38万円以下であれば同一生計配偶者という形になります。
前述の配偶者控除、配偶者特別控除には同一生計要件があります。また、障害者に該当する場合などで勘案することがあります。
控除対象配偶者:対象者の所得が1000万円以下で配偶者の所得が38万円以下
対象者の所得が1000万円以下で配偶者の所得が38万円以下であれば控除対象配偶者となります。読んで字のごとし控除対象の配偶者ですが、配偶者の所得が85万円(年収150万円)超から123万円(年収201万円)にかけては控除額が徐々に低減されていきます。
前述した配偶者控除、配偶者特別控除のそれぞれの要件に当てはまれば控除の対象になります。
その他配偶者控除、配偶者特別控除にまつわること
配偶者控除の要件
配偶者特別控除の要件
配偶者控除の要件
控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること
民法上の規定による配偶者であること(内縁関係は不該当)
納税者と生計を一にしていること
年間の合計所得金額が38万円以下であること(収入103万円以下)
青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
配偶者特別控除の要件
控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること
民法上の規定による配偶者であること(内縁関係は不該当)
控除を受ける人と生計を一にしていること
青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
他の人の扶養親族となっていないこと
年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であること(収入103万円超201万円以下)
壁のはなし
以前から「103万円の壁」などと言われており、2018年(平成30年)以降に適用される新税制になっても今度は「150万円の壁」となっています。
女性が税制の問題から勤務の調整をするというような実態があり、配偶者控除や配偶者特別控除が女性の就労や社会参加を阻害しているという議論もあります。
今後改善の方向に向かう可能性が高いため、毎年年末調整時には確認が必要になってくると思われます。
以下、貴方の所得が900万円、満額の控除額を38万円で記述しています。
900万円超950万円以下で満額の控除額は26万円
950万円超1,000万円以下で満額の控除額は13万円
100万円の壁
所得税とは関係ありませんが、住民税は100万円の壁です。配偶者の収入が101万円以上になると、配偶者は所得税は発生しませんが住民税が発生します。
103万円の壁
103万円の壁ですが、対象者の所得が900万円以下であれば、配偶者の所得が38万円以下(収入103万円)で38万円の配偶者控除を受けられます。103万円を超えると配偶者控除は受けられず、さらに配偶者も所得税が課されます。103万円以下は配偶者特別控除はありません。
106万円の壁
こちらは所得税や住民税ではなく社会保険料の話ですが、106万円の壁は言ってみれば130万円の壁の例外です。以下の条件を満たすと130万円の壁が106万円の壁になります。
従業員が501名以上の企業
勤続年数は1年以上
労働時間が週20時間以上
月額賃金が8万8,000円以上(年収106万円以上)
※学生は適用外
130万円の壁
所得税や住民税ではありませんが、配偶者の収入が130万円以上になると、配偶者は対象者の扶養から外れ、社会保険料を払わなくてはいけません。社会保険料とは健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料です。
150万円の壁
150万円の壁は、対象者の所得が900万円以下であれば、配偶者の所得が85万円以下(収入150万円以下)で38万円の配偶者特別控除が受けられます。配偶者は所得税が課されます。150万円を超えると配偶者特別控除は徐々に低減されます。
201万円の壁
201万円の壁は、対象者の所得が900万円以下であれば、配偶者の所得が123万円(収入201万円以下)で低減された配偶者特別控除が受けられます。123万円(収入201万円以下)が配偶者特別控除の上限です。
ちなみに対象者の所得が900万円以下で配偶者の所得が120万円超、123万円以下で1万円の配偶者特別控除です。1万円の控除というのは所得税が1万円減るということではなく、所得から1万円引いてから所得税を計算するという意味です。
対象者 | 配偶者 | ||||
---|---|---|---|---|---|
所得税控除 | 所得税 | 住民税 | 社会保険料 | ||
配偶者の年収 | 100万円以下 | 配偶者控除 | × | × | × |
101万円~103万円 | 配偶者控除 | × | 〇 | × | |
104万円~105万円 | 配偶者特別控除(満額) | 〇 | 〇 | × | |
106万円~129万円 | 配偶者特別控除(満額) | 〇 | 〇 | △ | |
130万円~150万円 | 配偶者特別控除(満額) | 〇 | 〇 | 〇 | |
151万円~201万円 | 配偶者特別控除(低減) | 〇 | 〇 | 〇 | |
202万円~ | なし | 〇 | 〇 | 〇 |
配偶者控除とは
所得税を計算する過程で総所得金額から差し引く所得控除の一つ。所得税の納税義務者に所得税法上の配偶者がいる場合,一定額が控除される。控除の対象となる配偶者とは,その年の 12月31日現在,民法の規定による配偶者であること(内縁の者を除く),納税者と生計を一にしていること,年間の合計所得金額が 38万円以下であること,原則として青色申告者(→青色申告)の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと,白色申告者の事業専従者でないこと,の要件をすべて満たしている者をさす。配偶者は一般の控除対象配偶者と老人控除対象配偶者(12月31日現在,満70歳以上)とに区分され,同居特別障害者であるか否かによって控除額が異なる。1987年からは,配偶者控除の適用がないときでも一定金額の所得控除が受けられる,配偶者特別控除が設けられた。控除を受ける者の合計所得金額が 1000万円以下であること,配偶者の年間の合計所得金額が 38万円超 76万円未満であるなどの要件を満たす者が対象となり 38万円を限度として控除される。なお,贈与税や住民税においても配偶者控除の制度がある。 (出典:コトバンク) |
配偶者特別控除とは
所得控除の一。配偶者控除の対象にはならない配偶者で、所得金額が一定額以下であるなどの要件に該当する配偶者がいる場合に、一定の金額を控除すること。控除額は、配偶者の所得金額に応じて変わる。 (出典:コトバンク) |
配偶者控除、配偶者特別控除の適用の例外
確定申告で配偶者控除、配偶者特別控除の適用
個人事業主
年の途中で退職した人
※年末調整をしていない人
まとめ
以上、ざっくりではありますが、平成30年からの配偶者の控除についてまとめてみました。細かくは障害者などのからみなどもありますが、より単純化したく今回は省きました。また収入には給与収入以外にも不動産収入や相続の収入などもあります。さらに今回は70歳以上の老人控除対象配偶者も省略させていただいています。
ただ基本的な考え方は同じですので、配偶者の控除を考えるにあたっての一助になればとおもっています。
給与担当者用に分けて作成しました。などを使っていればなおのことですが、実際の年末調整などの業務の知識としては必要ない内容も含まれているかもしれません。ただ給与担当者として持っているべき知識であるとも思えます。また従業員から質問を受ける可能性もありますので、そのような場合に回答できる準備は必要だと思います。