所得税計算が年末調整の仕事 その計算方法とは?
給与業務の一大行事は年末調整です。10月も下旬にもなると、国税庁から年末調整の書類が届きます。そんな中で、今日は年末調整についてまとめてみようと思います。
といっても一度に全部は難しいので、今日は年末調整とは何なのか?所得税とはどのように計算するのか?についてみてみたいと思います。
所得税計算が年末調整の仕事 その計算方法とは?
年末調整は所得税を計算すること
年末調整とは所得税を計算することです。細かく言うと、所得税は毎月源泉徴収されています。毎月の源泉徴収は概算ですので、年末に正しい所得税を計算しなおして精算するのです。それが年末調整です。
年末調整は所得税を計算すること
所得税=課税所得×所得税率− 税額控除
課税所得=給与所得–所得控除
給与所得=給与収入-給与所得控除
※特定支出控除は省略しています(特定支出控除については国税庁HPへ)。
所得税=課税所得×所得税率− 税額控除
所得税=課税所得×所得税率− 税額控除
所得税は課税所得に所得税率をかけて、そこから税額控除引いて計算します。
課税所得=給与所得–所得控除
課税所得=給与所得–所得控除
それぞれの要素について
所得税率とは
平成30年4月1日現在法令等による税率(※最新の情報は国税局のホームページをご参照ください。)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
所得控除とは
所得控除には以下のものがあります。
雑損控除
医療費控除
社会保険料控除
小規模企業共済等掛金控除
生命保険料控除
地震保険料控除
寄付金控除
寡婦・寡夫控除
勤労学生控除
障害者控除
配偶者控除
配偶者特別控除
扶養控除
基礎控除
青色申告特別控除
控除についてはこちらの記事をご覧ください。

税額控除とは
税額控除には次のものがあります。
マイホームの取得等と所得税の税額控除
居住者に係る外国税額控除
非居住者に係る外国税額控除
配当所得があるとき(配当控除)
政党等寄附金特別控除制度
認定NPO法人に寄附をしたとき
公益社団法人等に寄附をしたとき
試験研究費の総額に係る税額控除制度
特別試験研究に係る税額控除制度
雇用者の数が増加した場合の税額控除
雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除
控除についてはこちらの記事をご覧ください。

所得とは
サラリーマン:所得=給与収入-給与所得控除
個人事業主など:所得=収入-必要経費
サラリーマン:所得=給与収入-給与所得控除
給与所得=給与収入-給与所得控除額
個人事業主など
所得=収入-必要経費
所得は収入から必要経費を引いたものですが、サラリーマンの場合はその必要経費は給与所得控除となります。
個人事業主などの所得はそのまま収入から必要経費を引いたものになります。
売上みたいなものですね。
所得について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

給与所得控除と所得控除の違い
課税所得=給与所得-所得控除
給与所得=給与収入-給与所得控除
ついでに、ここまで出てきて混乱しがちな給与所得控除と所得控除の違いについてです。
給与所得控除と所得控除の違いについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

所得控除と税額控除の違い
課税所得=給与所得–所得控除
所得税=課税所得-税額控除
所得控除と税額控除もおなじ控除で混乱しがちなので整理しておきます。
所得控除と税額控除の違いについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

課税標準額と課税所得の違い
税率をかける対象を課税標準と言う
所得税では課税標準を課税所得と言う
住民税では課税標準を課税標準額と言う
今回は所得税についてですが、同じ課税標準なのに所得税と住民税では呼び方が違います。一応まとめておきました。
課税標準額と課税所得の違いについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
https://payroll-research2.com/post-2052参考資料
年末調整のやり方についてはこちらの記事をご覧ください。

まとめ
年末調整というのは基本的に所得税の計算をすることという内容を書いてみました。
所得税というのは、毎月所得を源泉徴収税額月額表にあてはめ源泉徴収していますが、源泉徴収している所得税というのはあくまで概算ですので、年末に正しい金額を再計算して過不足を精算します。
毎月計算したり、年末に再計算したりととても面倒な業務であり、クラウド型給与ソフトを使っていればまだしも、まともにやったら前時代的で非効率、さらに業務が年末に集中することから年間の繁閑の差が激しく、長時間労働の温床になっています。